サマー・バレンタイン #2
ざわざわと胸騒ぎがする。
ドクドク鳴ってる心臓を落ち着かせながら、彼らの会話の断片を繋ぎ合わせ、その内容を理解した瞬間、私は頭のてっぺんからつま先にかけて、ぐさりと稲妻がつき刺さったかのような衝撃を受けた。
一瞬にして目の前が真っ暗になる。
先週、山本くんが隣のクラスの女の子に告白されて付き合い始めた、という信じたくない内容だったから。
山本くんはそのことをネタに冷やかされて怒っているのだ。
怒っているといっても本気じゃない。
だって目が笑っている。
きっと照れているだけだ。
幸せそうな山本くんがそこにいた。
そんな山本くんとは対照的に、呆然としている私を心配そうに見つめる友達の表情が視界の端に映った。
みんなの楽しい雰囲気を壊したくなくて、「平気」って笑ってみせたけど、上手く笑えているのか自信はなかった。
その後のことは何も覚えていない。
楽しみにしていた友達との約束も、成績表の中身も、家まで帰ってきた道のりも。
私は突然突きつけられた現実を受け入れることができなかった。
今はまだ何も考えたくなくて、制服を脱ぎ捨てると頭から布団を被ってひたすら眠った。
手っ取り早い現実逃避だ。
そんなことをしたって、何も変わらないのは分かっていたけれど。
私は夏休みのスタート地点で転倒し、走り出す前に再起不能に陥った。
↓よろしければクリックおねがいします
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)


最近のコメント