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サマー・バレンタイン #7

田中くんは私が何か言うのをじっと待っている。
私は焦って
「公園の近くになかったっけ。
私の……勘違い……かな?」
と、しどろもどろに答えた。

田中くんは「……フーン」と、明らかに納得してない様子だったけれど、それ以上のことは何も聞いてこなかった。
ほっと胸をなで下ろしたのも束の間、
「ところでさっきから気になってたんだけど、その大事そうに抱きかかえてるの何?」

私ははっとして、腕の中でくしゃくしゃになった紙袋を、そろそろと右手に持ち直した。
「こ、これは別に……」
私がもごもごと口ごもると、田中くんはひょいっと紙袋の中を覗き込んだ。

「プレゼント?」
田中くんのその何気ない言動に、全身がかっと熱くなった。
そして次の瞬間、私は目の前にいる田中くんめがけて、チョコレートの入った紙袋を投げつけていた。

「うぐっ……」
紙袋が田中くんの顔面に直撃し、袋からはじき出されたチョコレートが、私と田中くんの足元に散らばった。
「いてー…」
田中くんが鼻をさすりながら、リボンがかかった色とりどりの箱と私とを交互に見た。

「……中川?」
名前を呼ばれ、ようやく我に返った私は、「ごめんなさい!」とだけ言い残し、田中くんにくるりと背を向けると公園から一目散に逃げ出した。

「お、おい!どこ行くんだよ!
ちょっと待てって……中川っ!!」
背中越しに田中くんの声が聞こえたけれど、頭の中が混乱していてどうしていいのか分からなかった。

私は最初の目的もすっかり忘れ、彼の声が聞こえなくなるまで、ただひたすら走り続けた。

 

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