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○ 4-2 プール(2)

渋谷の姿が見当たらなかったので、建物の周りをぐるりと一周してみたけれど、やっぱり渋谷はいなかった。
どうしようかと迷っていると、ふと視線の先に建物の入り口が目に入った。

近づいてガラスの扉越しに中を覗いてみたけど、真っ暗で何も見えない。
試しにそっと扉を押してみると、予想に反して扉が簡単に動いた。
誰かが鍵を掛け忘れたのだろうか、それとも――……?

私は意を決して、建物の中にそろそろと足を踏み入れた。
全身がすうっと冷たい空気に包み込まれる。
建物の中は薄暗く、非常灯だけが人工的な明かりをチカチカと光らせている。

周囲はしんと静まり返っていて、いつ幽霊が出てきてもおかしくないような雰囲気があり、西校舎といい勝負だ。
やっぱり怖い。
一旦外に出て、渋谷のケータイに電話しよう。
そう思って回れ右したそのとき、こつんとローファーに何かが当たった。
恐る恐る足元を見ると、それは見たことのある大きなサイズのスニーカーだった。

渋谷はこの中のどこかにいて、私のことを待っている。
確信すると、私は何とか勇気を振り絞って靴を脱ぎ、リノリウムの床の上にあがった。
靴下越しに冷たい床の温度が伝わってくる。

正面にある壁の右側に「女子更衣室」、左側に「男子更衣室」と横書きのプラスチックのプレートが貼り付けてある。
びくびくしながら両方の更衣室のドアをノックしてみたけど、反応はない。
渋谷はどこにいるのだろう。

更衣室の手前右側に二階へと続く階段を見つけ、上ってみることにした。
薄暗い階段を手摺につかまって、一段一段、ゆっくりと上る。
何とか階段途中の踊り場まで上りきり、さらに続く階段を見上げると、正面に大きな扉が見えた。

そこでもぞもぞと動く影を発見し、私はあまりの驚きに声も出せず、その場で動けなくなってしまった。

 

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